Blender アノテーション(Annotation)の基礎知識

Blender

アノテーションとは?

Blenderにはもともと グリースペンシルという機能がありました。 グリースペンシルとは、裁縫などを行う場合に型紙などに印をつけたりするペンのことで、日本だとチャコールペン、チャコペンという呼び方の方が認知されているかもしれません。

Blenderでのグリースペンシルもチャコペンのような、画面上に編集の目印を描いたりするための機能として実装されました。しかしバージョンがすすむと グリースペンシルもかなり高機能になり、今ではグリースペン機能でアニメーションを作れるまでになりました。

ただ、当初のようにチャコペンのような使い方も必要で、高機能になったグリースペンだと扱いが難しくなってしまうことから、そのような使い方のために簡単に使えるようにアノテーションという形で実装されました。アノテーションはそもそもグリースペンと同じ仕組みではありますが、機能は簡素で使いやすくなっています。

アノテーションの使い方

メニューから選択して描画

左側のアイコンメニューからAnnotate(アノテート)を選択します。

ペンのようなマークがAnnotate(アノテート)

長押しすると4つアイコンがでてきます。

基本的にはAnnotate(アノテート)を、直線が引きたい場合はAnnotate Line(アノテートライン)を、多角形を描きたい場合はAnnotate Polygon(アノテートポリゴン)を選択します。またAnnotate Eraser(アノテート消しゴム)を選択するとアノテーションを消すことができます。

選択すると、左側のTool(ツール)タブの内容がAnnotate(アノテート)の内容に変わります。

Tool(ツール)タブのメニュー

また、画面上部にAnnotationメニューバーが表示されます。

上部にAnnotationメニューバーが出る

基本的にToolタブとAnnotationメニューバーは同じものなので、どちらか触りやすい方で設定を行います。

Annotate Line(アノテートライン)の場合は、Stabilize Strokeが無く、Start End(開始終了)項目があります。

Start Endは矢印の形の設定です。いくつかの矢印の形状が選択できます。

Annotate LineのStartEndの設定によるさまざまな矢印

Annotate Polygon(アノテートポリゴン)の場合は、Stabilize Stroke項目はありません。

Annotate Eraser(アノテート消しゴム)は消しゴムの半径設定とDragのみです。半径を変えることで消しゴムの大きさを変えられます。

Annotation(アノテーション)

色とレイヤーの設定です。

色の部分(デフォルトでは水色)をクリックするとカラーサークルから色を選択できます。

Note(メモ)とあるところをクリックするとレイヤーリストが表示されます。

一番上段(Annotationsとある部分)はアノテーションデータブロックの名前です。ほとんどの場合ここの名称を変える必要はありません。

Noteとあるリスト部分がレイヤーです。レイヤーは任意で増やすことができます。たとえばアノテーションの意味毎に色を分けたい場合などです。アノテーション機能はレイヤーに対して一色しか使えないため、色を分けたい場合はレイヤーを分ける必要があります。

Opacityは透明度、Thicknessは線の太さですが、10pxまでしか設定できません。

Frame:1と書かれている部分は現在どのフレームに対して描画しているかです。アノテーションはフレームごとに描くことができます。タイムラインでフレームを移動して描画するとこの部分のFrameの数字が変わります。またどのフレームにいても特定のフレームに対して描画したい場合は、クリックするとLookedとなり描画対象のフレームがその時設定されているフレームでロックされます。

Placement(配置)

アノテーションは3D空間に描くことになるため、どの位置(どこを基準に)に描くことになるのかの設定です。

3DCousor

3Dカーソルを通過する形で描画されます。見た方向からだけだと奥行を考慮した描画はできないので、3Dカーソルの位置が奥行の位置として基準になります。この状態で描いたアノテーションは3D空間に存在するので、視点を変えるとアノテーションが3D空間上にあることがわかります。

Suface

オブジェクトの表面に吸着するように描画されます。3D空間に描かれるのは3Dカーソルと同じですが、こちらはオブジェクトの表面が奥行の基準となります。

View

画面平面に対して描画されます。この設定で描いた場合、アノテーションは3D空間に存在せず、書いた視点を変えてもアノテーション最初に描いた画面平面に張り付いたままのような状態になります。

Stabilize Stroke(ストロークの安定化)

マウスで描くとガタガタになりやすいですが、Stabilze Strokeにチェックを入れるといわゆるレイジーマウスのようになりなめらかな曲線を描くことが可能です。

Radius(半径)

アノテーションが連続する最小半径です。小さいと滑らかに繋がりますが、大きくすると繋がりが直線的になります。

Factor(係数)

滑らかさに対する影響量です。小さいと小回りは効きますが手動で描く状態に近づきます。大きいとより滑らかになりますが、小回りは効かなくなります。

Drag(ドラッグ)

※おそらく選択に関する項目だと思うのですが、なんの挙動なのか判明しませんでした(公式マニュアルにも記載がありません)

便利な使い方あれこれ

アノテーションを使う上で知っていると便利な点です。

Ctrl+左ドラッグで消しゴム

Annotate Eraser(アノテート消しゴム)をわざわざ選択しなくても、Ctrl+左ドラッグで消しゴムを使うことができます。

ただし、Ctrl+左ドラッグでは消しゴムの大きさを変えることができません。もし大きさを変えたい場合は、Annotate Eraser(アノテート消しゴム)を選択して半径を設定する必要があります。

Dキーによるオンデマンド描画

Dキーを押したままにするとメニューからアノテーションを選択していなくても、アノテーションを描くことができます。

ただし、Dキーのよる描画ではToolタブにも、画面上部にもメニューはでてきません。現在有効になっている設定での描画ができるのみです。もし設定を変えたい場合は、アイコンからAnnotate等を選択してメニューを表示させる必要がありますが、素早くアノテーションを描きたい場合は便利です。

Dキーを組み合わせたショートカットでは以下のもあります。

  • Shift+D を押したままだと、Stabilize Stroke(ストロークの安定化)が効いた状態で描けます。
  • Alt+D を押したままだと、水平線、垂直線が描けます(斜め線は描けません)
  • Shift+Alt+Dを押したままだとAnnotate Line(アノテートライン)になります。
  • D+右ドラッグで消しゴムになります。

Measure(メジャー)での計測結果をアノテーションとして使う

Blenderには長さや角度を計測するためのMeasure(メジャー)という機能がありますが、この計測結果はアノテーションとして保持されています。

メジャーの機能を抜けると計測結果は表示されなくなってしまいますが、メジャーで一か所でも計測した状態でアノテーションレイヤーリストを確認してみるとRulerDate3Dというレイヤーが非表示状態で増えていることが分かります。

目玉アイコンをクリックして、表示状態にすると、メジャーでの計測結果がアノテーションとして表示されます。残念ながら計測数値はアノテーションとして表示されません。

計測結果を目印にしたい場合などには、レイヤーを表示させることで間接的に計測結果を使うことができ便利です。

アノテーションをカーブに変換する

アノテーションはオブジェクトとして認識されないデータのため、単純にコンバートでカーブ等に変換することができません(できないわけではないですが手順が多く現実的ではありません)そのためアノテーションをカーブに変換するにはアドオンを使います。

Bsurfacesという標準搭載アドオンでアノテーションをカーブに変換することができます。Blenderをインストールした際にはすでにあるアドオンなのでダウンロードする必要はありません。ただ、デフォルトでは無効になっているので、PreferencesのAdd-onsにてBsurfacesを検索して有効にします。

Bsurfacesを有効にすると、EditタブにBsurfacesのメニューが出ます。

Annotation to Curvesをクリックすると現在表示されているアノテーションがカーブに変換されます。

変換されるカーブはコントロールポイントがかなり多い状態になるので整理が必要になりますが、オブジェクトとして扱えるようになるので、使いどころがいろいろあると思います。

LoopToolsのGstrechで使う

LoopToolsのGstrechは頂点等を揃えてくれる機能でとても便利ですが、揃えの基準としてアノテーションを使うことができます。ポリゴンモデリングでは曲線上に頂点などを揃えるのは難しい場合がありますが、アノテーションを使うことで曲線的に揃えることができるので、モデリング手法の一つとして非常に有用です。

補足

上記の内容は基本的に3Dプレビュー画面でのアノテーションの使い方ですが、UVEditer、ImageEditer、Compotitor等、一部の2D系エディターでもアノテーションを使うことができます。基本的に使い方は同じですが、2D画面の場合奥行が無かったり、サーフェス(メッシュ)が存在しないので一部項目はありません。またアノテーションのメニューはそのエディターのあるペインのToolタブに表示されます。

ShederEditerでアノテーションを描いた状態

まとめ

アノテーションで注釈をつけることで、次回の作業時にやるべきことを思い出したり、モデリング時の下書きや印付けなどに活用できます。また紹介したようにカーブに変換したり、基準として使ったりすることで応用的な使い方もできます。Dキーショートカットで簡単に描けるので、日々の作業で取り入れてみることをお勧めします。

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