Blender Transform Pivot Point(トランスフォームピボットポイント)の基礎知識

Blender

Blenderで編集するとき、どこを基準として編集するかで、結果が変わったり、できることが違ったりします。より効率的に作業をするには「編集の基準」をしっかり理解する必要があると偉い人も言っています。

Blenderにおいて「編集の基準」はTrasform Pivot Point(トランスフォームピボットポイント)と呼ばれます。Pivotは日本語に訳すと、軸、かなめ、要点など中心を示すような意味になります。ちょうどバスケットボールで軸足を据えておこなうピボットのイメージですね。

少し長い記事ですが、Trasform Pivot Pointの基本的な挙動などは理解してもらえるかなと思いますので、ぜひお読みください。

ピボットポイントに関しては知っとる、要はどんな場合にどのピボットポイントを使うといいのか知りたいんやという方は、こちらの記事の方がいいかもしれません。実践的、応用的な実際のモデリングでTrasform Pivot Pointを活用している場面を記事にまとめています。

Transform Pivot Pointの設定

Trasform Pivot Pointの出し方

Trasform Pivot Pointはアイコンから出すか、キーボードの「.」(ドット)キーにてパイメニューとして出すことができます(テンキーのドットは別な機能のショートカットなので注意)

アイコンから出した場合
パイメニューで出した状態

(パイメニューとアイコンメニューで一部項目が違います)

いくつかの項目がいくつかあり、それぞれがピボットの役目を意味しています。

Transform Pivot Pointの挙動と意味

Bouding Box Center(バウンディングボックスの中心)

バウンディングボックスとは?

オブジェクトないし選択された頂点、辺、面を囲んだ四角形のことを言います。実体のあるボックスのことではなく計算上で生成される要素です。

オブジェクトのバウンディングボックスは視認することもできます。ObjectプロパティのViwePort Display(ビューポート表示)からBounds(バウンド)にチェックを入れて、Box(ボックス)を指定します。

するとバウンディングボックスが表示されます。

形状の外側に四角形がみえるがそれがバウンディングボックス

たとえば、頂点を編集する(拡大している)とバウンディングボックスも頂点の拡大に従って大きくなっているのが分かると思います。

バウンティングボックスのイメージは理解できたかと思います。

オブジェクトモードの場合

オブジェクトを一つ選択している場合は、「そのオブジェクトのバウンディングボックスの中心」が基準になります。複数選択している場合は、「選択したオブジェクト全体を囲っているバウンディングボックスの中心」が基準になります。

例では最初に一つのオブジェクトを選択して、拡大縮小(Sキー)を行っていますが、それぞれのバウンディングボックスの中心が基準となって拡大縮小されているのが分かります。

次に複数のオブジェクトを選択して、拡大縮小を行っていますが、選択したオブジェクトを囲うバウンディングボックスの中心(このバウンディングボックスは表示されていません)を基準に拡大縮小されているのが分かると思います。

選択範囲のバウンディングボックスのプレビューオプションは無いはず(あったらごめんなさい)なので、バウンティングボックス自体を確認することはできませんが、3Dカーソルを使って中心点を確認することは疑似的に可能です。

Bouding Box Centerを選択し、オブジェクトを複数選択した状態で、Shift+Sキーで3Dカーソルパイメニューを出し、Cursor to Selected(カーソル→選択物)を選択します。すると3Dカーソルが移動します

※Cursor to Selectedは選択されているTransform Pivot Pointを基準に移動します。そのため移動前にBouding Box Centerを選択していないと結果が異なります。

その状態で拡大縮小を行ってみると3Dカーソルがあるポイントを中心に拡大縮小が行われていることがわかります。このポイントが選択オブジェクト全体のバウンディングボックスの中心点になっています。

エディットモードの場合

頂点、辺、面を選択した場合、それら選択した要素を囲んだバウンディングボックスの中心を意味します。

例では、頂点、面、辺などを複数選択してバウンディングボックスの中心を基準として拡大縮小している様子です。3Dカーソルを移動させ中心を確認する作業も合わせて行っています。(あくまで確認のためです。編集するのに3Dカーソルを移動しないといけないわけではなく、確認しなくていい時はこの操作をする必要はありません)

Bouding Box Center(バウンディングボックスの中心)の使いどころ

バウンティングボックスは、選択している要素の最大幅、最大高から算出されているので、選択範囲の空間的な中心と言えます。

似た基準としてMedian Point(中点)がありますが、オブジェクトモードの場合はMedian Pointは各オブジェクトのOrigin(中心点)からの距離を元に算出されるので、バウンティングボックスの中心とは異なります。エディットモードの場合もMedian Pointとは異なります。

例ではオブジェクトモード、エディットモードでBouding Box Centerの状態で3Dカーソルを移動させてから拡大縮小、その後Median Pointにて3Dカーソルを移動させて拡大縮小をしていますが、3Dカーソルの移動先が異なり中心が違うことが分かるかと思います。

選択範囲の空間的な中心を基準にしたいときは、Bouding Box Center(バウンディングボックスの中心)を、選択範囲の距離的な中心を基準にしたいときはMedian Point(中点)を使うといいでしょう。

3DCursor(3Dカーソル)

3Dカーソルとは?

3Dカーソルを基準とするピボットポイントです。3DカーソルはBlender特有の要素ですが、任意の位置に置ける基準点として使い勝手が非常に良いと思います。

3Dカーソルの基本知識に関しての記事はこちらです。

3Dカーソルを動かすにはいくつかの方法があります。

手動で任意の場所に置きたい場合、Shift+右クリックでマウスカーソルがある場所に3Dカーソルを置くことができます。Shift+Cキーでグローバル座標の原点に移動させることができます。

また、数値による正確な位置指定を行いたいときは、Viewプロパティの3DCursor(3Dカーソル)のLocation(位置)XYZに直接値を入力することができます。

さらに、Shift+Sキーの3Dカーソルメニューから、さまざまな条件による移動ができます。

オブジェクトモードの場合

選択したオブジェクトが3Dカーソル中心に編集されます。

例では3Dカーソルを様々な方法で移動させながら、拡大縮小をしていますが、3Dカーソルが基準となって拡大縮小されていることが分かるかと思います。

エディットモードの場合

選択した要素が3Dカーソル中心に編集されます。

オブジェクトモード同様に、3Dカーソルを様々な方法で移動させながら、拡大縮小をしていますが、3Dカーソルが基準となって拡大縮小されていることが分かるかと思います。

3DCursorの使いどころ

カーソル以外のピボットポイントは、計算上で算出される基準になるので、完全に任意の場所に基準を置きたい場合は3Dカーソルを使う必要があります。唯一数値入力で厳密に位置調整ができうるピボットポイントなので、数値的な正しさが必要な場面などに便利に使えると思います。

Individual Origins(それぞれの原点)

Individual Origins(それぞれの原点)とは?

選択した要素の中心点のことです。オブジェクトモードではオブジェクトのOrigin(中心点)で、エディットモードでは、選択した要素(頂点、辺、面)の中心です。

オブジェクトモードの場合

選択したオブジェクトそれぞれの中心点に従って拡大縮小されています。選択数を変えても中心点はそれぞれの中心で挙動します。

エディットモードの場合

選択した要素の中心で拡大縮小していることが分かります。

ただし、繋がったの選択の場合、その選択範囲の中心が中心点になります。これはポリゴンが連続しているので個別のトランスフォームができないためです。頂点の場合、頂点そのものが個別の中心になるため、拡大縮小回転などの場合、頂点個別でのトランスフォームは動きません。

Individual Originsの使いどころ

要素個別の基準で編集したい場合は唯一のピボットポイントです。それぞれの位置で編集したい場合には、Individual Originsを使うと良いと思います。

Median Point(中点)

Median Point(中点)とは

選択している要素間の距離から算出されるので、距離的な中心と言えます。

似た基準としてBouding Box Center(バウンディングボックスの中心)がありますが、バウンティングボックスは空間的な中心点になるため、距離的な中心点であるMedianPointとは位置が異なります。

オブジェクトモードの場合

オブジェクトを一つ選択している場合は、「そのオブジェクトのOrigin(中心点)」が基準になります。複数選択している場合は、「選択したオブジェクト全体の距離的な中心」が基準になります。

例では、オブジェクト一つの場合は、そのオブジェクトのOrigin(中心点)が基準に、複数選択した場合は、それぞれの距離的な中心点が基準になって拡大縮小していることが分かります。

エディットモードの場合

選択した要素の中心点が基準になります。

例では頂点、辺、面を複数選択して拡大縮小していますが、選択範囲の中心が基準となっていることが分かると思います。

Median Pointの使いどころ

デフォルトのピボットポイントです。「選択したものの距離的な中心」が必要ならMedianPointを使うのが良いでしょう。直観的なので使いやすいと思います。

Active Element(アクティブ要素)

アクティブ要素はBlender特有の選択上の概念です。他にあまり類を見ない概念かつBlender上では非常に重要な概念なので、別途記事でアクティブ要素についてまとめています。詳しくは以下の記事を合わせてお読みください。

基本的には「最後に選択した要素」を表す概念で、オブジェクトモードの場合、最後に選択されたオブジェクトは黄色に、エディットモードの場合は白になります。

オブジェクトモードの場合

アクティブになっているオブジェクト(黄色く見えるオブジェクト)のOrigin(中心点)が基準となります。

例ではアクティブなオブジェクト(黄色く見えるオブジェクト)を変えていくと、基準もアクティブなオブジェクトのOrigin(中心点)も変わることが分かると思います。

エディットモードの場合

アクティブになっている要素(白く見える要素)が基準となります。

例ではアクティブな要素(白く見える要素)が基準となって拡大縮小が行われているのが分かると思います。マルチモードで頂点、辺、面が選択できる状態でも、アクティブは最後に選択した要素一つです。

Active Elementの使いどころ

任意の要素(オブジェクト、頂点、辺、面)を基準にでき、アクティブ要素はどの場合でも一意に定まるため、確実に目的の要素を基準にしたい場合にはActive Elementを使うと良いでしょう。

Only Locations(位置のみ)

Only Locationsとは?

たとえば、複数のオブジェクトを選択して、Median Point(中点)で回転させる場合を想定してみます。実際操作してみると、選択されたオブジェクトはMedian Pointを中心に回転します。このとき、グローバル座標からみれば、各オブジェクトの姿勢は変わっていることが分かると思います。

選択範囲の中心点で回転はしているが、各オブジェクトの姿勢は変わっている

この挙動が必要な場合もあると思いますが、各オブジェクトの姿勢は変えたくない場合もあります。そんな場合にOnly Locationsを有効にします。

各オブジェクトの姿勢は変わらず位置だけ変わっている

Only Locationsを有効にした状態で、同じように回転をしてみると、各オブジェクトの姿勢は変わらず、結果的に位置のみ変更されていることがわかります。これがOnly Locations(位置のみ)の挙動です。ピボットポイントというより、挙動のオプションですね。

Only Locationsはエディットモードでは有効にすることができませんので、オブジェクトモード専用のオプションになります。パイメニューでもオブジェクトモードでなければ選択肢として出てきません。

まとめ

Transform Pivot Pointを制する者はBlenderを制すると偉い人も言っています。ピボットポイントの挙動をしっかり理解すると、目的に合ったトランスフォームが効率よく行えるようになると思います。すこし種類はありますが、使っていくとすぐに覚えられると思いますので積極的に活用しましょう。

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