Blender使いの方でハードサーフェスモデリングをする必要があるならPlasticityを検討してほしいと思っています。
自分は3DCGを始めたきっかけはBlenderで、今でもBlender使いです。実のところPlasticityのようなNUBRSモデラーは今まで使ったことはなく(何ならBlender以外のモデリングソフトとしてはZbrushくらいしか使っていない)Moiは挫折しています。そんな自分でもPlasticityの習熟は今のところ挫折せずにいます。
なぜBlender使いにPlasticityを勧めたいか理由をまとめてみました。
ショートカットがかなりBlender
PlasticityのショートカットはBlenderよりの設定になっています。特に移動回転拡縮のショートカット(Blenderだとホットキーの方が正しいかも)はBlenderではGSRキーを使います。Gキーが移動、Sキーが拡縮、Rキーが回転ですね。このGSRキーのキーバインドは3DCGツールとしてBlender特有で、あまり他のツールでは採用されておらず、通常はWERキーが多いかなと思います。
もちろん自分もBlenderだけを使っているわけではないので、WERキーも使うのですが最初に慣れたツールのBlenderキーバインドが染みついているので無意識にGSRキーで操作しようとしてしまいます。
なんとPlasticityのデフォルトキーバインドがGSRキーなんですよ。これが自分にとってはPlasticityを習熟していく過程でとても良かった点です。感覚がBlenderなんですよね。
Blenderだと例えばGキーの後に軸を指定し、数字入力するなど連続したキー入力によるホットキー操作が非常に便利ですよね。Plasticityではこのホットキーでの操作体系がいたるところに採用されています。例えばGキーを押すとBlenderと同じく移動(GはGrab掴むの略です)機能に入ります。その状態で再度Gを押すとBlenderと同じくオブジェクトがマウスに追従するように動かすことができます。そのままXを押すとX軸拘束になります。
他にもBlender使いならスッと押せるショートカット、ホットキーが満載です。ほんの少しキーが違ったりはしますが、感覚がほとんど同じなので操作が本当にすぐ手に付いた気がします。
BlenderBridgeの存在
キーバインドとともに大きい理由なのがBlenderBridgeです。これはPlasticityでモデリングしているオブジェクトをアドオンを介してBlenderに転送する機能です。手動更新、ライブリンクができ転送されるメッシュの分割状態(三角ポリゴンにするかNgonにするか)を選ぶことなどができます。
ライブリンクはかなりリアルタイムでの転送で、Plasticityでのモデルの状態がほぼタイムラグなしにBlender画面上に表示されます。
Plasticityはハードサーフェスのモデリングにはめっぽう強いですが、NUBRSを用いているためゲームなどの用途には基本的にポリゴンに変換しなければなりません。UVなどもPlasticity自体では開けないため、どうしてもポリゴンに変換してからさまざまな作業を行う必要が出てきます。
Plasticityではビューポートプレビューとマテリアルが簡素なため、質感を含めたを確認するのがやや難しい側面があります。BlenderBridgeがない場合、いちいちエクスポートしてBlenderに持って行って…という作業が必要なります。
しかしBlenderBridgeがあると、エクスポートの手間なくBlender上でモデルの編集を行うことができます。マテリアルの仮当てをしてEEVEEで質感を当てた状態を確認するのがとても便利です。またポリゴンの分割の解像度をある程度設定ができるので、使用目的やその後の作業に適したポリゴン状態を試行錯誤することなども可能です。
ショートカットの件も含めて自分はPlasticityがBlenderの外部アドオンのような感覚さえ持っています。なぜ業界のデファクトスタンダードなMaya向けの機能ではなくBlender向けなのかはわかりませんが、現時点ではBlenderとの親和性の高さは特筆すべき点だと思います。
まとめ
Blender使いには非常に親和性の高いツールだと思いますが、インディ版でも149ドルで気軽にほいほい買える価格でもなかったりします。スタジオ版だと299ドルで日本円だとおおよそ45000円くらいですからね…。ただそのくらいの価値があるツールだとは思いますので、購入するかは別としても試用版で試してみるのはお勧めします。
公式サイトは以下で、トップページに試用版のダウンロードリンクがあります。